花信風 季節からのたより

季節と花を追いかけて。花の名前や由来、伝説・・・・を集めています。 過去記事は、加筆などして日付を移動させたりしています。

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源氏物語の花 藤袴(ふじばかま) 三

  御前の前栽にも、春は梅の花園を眺めたまひ、秋は世の人のめづる女郎花、小牡鹿の妻にすめる萩の露にも、をさをさ御心移したまはず、老を忘るる菊に、衰へゆく藤袴、ものげなきわれもかうなどは、いとすさまじき霜枯れのころほひまで思し捨てずなど、わざとめきて、香にめづる思ひをなむ、立てて好ましうおはしける。

(匂宮 第二章第四段)

(匂宮は)御自邸の庭にも春の花は梅を眺め、秋は人の愛する女郎花(おみなえし)、
小男鹿(さおしか)の妻にする萩の花などは興味がなく、不老の菊、衰えてゆく藤袴
見ばえのせぬ吾木香など香のあるものを枯れるころまでも愛するのであった。

匂宮は、光源氏の孫。光源氏と明石御方の間に生まれた、明石の中宮と帝の子。

薫の中将は、生まれながら体から良い香りがする。
匂宮は対抗するために、着物には香を焚きしめ、
庭では香りのよい花を植え愛でたのです。

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源氏物語の花 藤袴(ふじばかま) 二

  秋の野に主なき藤袴も 、もとの薫りは隠れて、
なつかしき追風、ことに折なしからなむまさりける。


(匂宮 第二章第三段)

 薫の香りは秋の野に主のいない藤袴も、もとの薫りは隠れて、
やさしい追い風が、特に折り取られて一段と香が引き立つのであった。

薫は光源氏の息子。(実は光源氏の妻と柏木との間にできた子。)

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源氏物語の花 藤袴(ふじばかま) 一

  かかるついでにとや思ひ寄りけむ、蘭の花のいとおもしろきを持たまへりけるを、御簾のつまよりさし入れて、「 これも御覧ずべきゆゑはありけり」とて、とみにも許さで持たまへれば、
うつたへに思ひ寄らで取りたまふ御袖を、引き動かしたり。

「 同じ野の露にやつるる藤袴 あはれはかけよかことばかりも」


(藤袴 第一章第四段)

 このような機会にとでも思ったのであろうか中将は蘭(らに)の花のとても美しいのを、御簾の端からさし入れて、 「この花もごらんになるわけがあります」 と、
すぐには手放さないで持っていらっしゃったが、そうとは気づかないで花を取ろうとなさる姫君の袖を中将はつかんで引いた。

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「あさきゆめみし」より

 
「あなたと同じ野の露に濡れて萎れている藤袴です
               やさしい言葉をかけて下さい、ほんの少しでも」

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ここでいう中将とは、光源氏の息子・夕霧のことです。
喪に服していた玉鬘に出仕すするよう、父の使いで来たのですが・・・


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